はじめに
先日、頭部MRIの定期検診に行ってきました。
ちょうど一年前、片頭痛の診察で撮ったMRIで、たまたま見つかった左目奥の動脈瘤。大好きだったロードバイクでのヒルクライムやロングライドはドクターストップがかかってしまいました。貯めた小遣いで、80万円の新車を購入する目前の出来事で大きなショックを受けたのを思い出します。ロードバイクに特化したブログを閉じ、愛車も手放して、手元に残ったのはカメラだけでした。
今回の検診では、瘤の大きさは変わらず、血圧も安定。また一年後にMRIを撮ることになりました。「変わらない」という知らせが、こんなにありがたいものだとは思いませんでした。
帰り道に思い出したのは、夏の乗鞍スカイラインを愛車で走った日のこと。自転車で走れる日本最高所の道です。ふもとの暑さが嘘のように、空気は澄んで気温は15℃。あの日の写真を開きながら、この一年を振り返ってみます。
走って、立ち止まって、見上げた空
ペダルを回していた時間も、足を止めて眺めた時間も、いまは同じひとつの風景として思い出されます。道の途中から畳平まで、写真を順にたどってみます。
カーブの先に、また道が続いていた

夏の暑い日でした。ふもとは汗ばむ陽気なのに、標高を上げるほどに空気は澄んで、気温は15℃。火照った体に、高原の風が気持ちよく通っていきました。
ヘアピンのカーブが、山肌に細い線を描いています。「まだ先があるのか」と笑いながら、ペダルを回していました。あの線の先に何があるのか知りたくて、ただ走っていた。あのころは、道の先を見ているだけで楽しかったのだと思います。
顔を上げたら、山があった

森林限界を超えて、しばらく登ったところでした。視界がひらけた場所で足を止め、ふと視線を上げました。
青い空の下に、深い緑の山々が静かに連なっていました。
走っているあいだは、次のカーブばかり見ていた気がします。立ち止まってはじめて、こんなに広い景色が目の前にあったことに気づきました。山はずっとそこにあって、何も言わず、待っていてくれたのだと思います。いまの私は、同じ景色をゆっくり眺めています。
畳平にたどり着いて

最終目標の畳平に到着しました。見上げると、頂は青空のすぐそばにあります。畳平は観光客とサイクリストでにぎわっていて、それぞれの乗り物でここまで来た人たちが、同じ山並みを見上げていました。
この頃、所有していた私の愛車。この道を一緒に登ってきた相棒との、いちばん晴れやかな一枚です。もう同じ走り方はできなくても、この日の景色は、これからも私のなかで走り続けるのだと思います。
おしまいに
カメラ一台ではじめた富山の風景ブログも、もうすぐ一年になります。撮って、書いて、YouTubeチャンネルも開いて。走っていたころとは違う速さで、同じ空の下を歩いてきた一年でした。スタイルは変わっても、いろいろな場所に出かけ、思いがけない出会いにも恵まれました。
ここまで続けてこられたのは、読んでくださる方がいたからです。ページを開いてくださること、ひとつの画面の向こうに誰かがいると思えること。それが、何よりの励みになっています。本当にありがとうございます。
道は、まだ先に続いています。これからは、立ち止まりながら、一枚ずつ、一記事ずつ、心を込めて仕上げていきます。急ぐ旅ではありません。よろしければ、これからものんびりお付き合いください。どうぞよろしくお願いします。
MIZUこれからもよろしくお願いします。

コメント
コメント一覧 (10件)
おはようございます。
定期検診での「変化なし」の知らせ、本当によかったですね。
安堵のお気持ちが文章からも伝わってきて私も安堵しました。
乗鞍スカイラインのお写真、澄み切った青空と山肌をぬう道の
コントラストが息をのむほど美しく、風の冷たさまで伝わって
くるようです。
愛車と共に刻んだその一瞬は、形を変えてもずっと大切な宝物
ですね。ロードバイクからカメラへとスタイルは変わっても、
切り取られる風景の温かさや深みは増すばかりだと感じています。
一枚一枚、一記事一記事に込められた想いを、これからも楽しみに
拝見させて頂きます。
応援ポチ!
hassel24さん、おはようございます。温かいコメントをありがとうございます。
「変化なし」の知らせには、やはりほっとしました。こうして一緒に安堵していただけることも、とてもありがたいです。
乗鞍スカイラインは、ロードバイクで走った頃の思い出深い場所です。
あの頃は自転車で夢中になって走っていた風景を、今こうして写真を通して振り返ると、また違った味わいがありますね。
愛車と一緒に刻んだ時間も、今では大切な宝物になっています。
「切り取られる風景の温かさや深みは増すばかり」という言葉、とても嬉しかったです。
これからも、その時々に出会った風景や感じたことを、写真と言葉で丁寧に残していけたらと思っています。
これからも楽しんでいただけたら嬉しいです(^^)
私は登山をしますが
畳平まで自転車で行くなんて
到底無理です。不可能です^^
槍ヶ岳から奥穂、前穂の稜線が
綺麗に見えていますねぇ。
登山者の中には乗鞍岳のことを
「車で簡単に行ける安易な山」と
見下すようにいう人もいますが
私は名峰だと思っています。
応援ぽち
よっちんさん、ありがとうございます。
登山をされるよっちんさんから見ても、畳平まで自転車は「不可能」ですか(笑)
私も今になって考えると、よく登ったものだと思います。
槍ヶ岳から奥穂、前穂まで見渡せる景色は本当に素晴らしかったです。
乗鞍岳は車でかなり上まで行けるとはいえ、あの山のスケールや景観はやっぱり名峰だと思います。
「安易な山」と片付けてしまうのは、たしかに少しもったいないですよね。
いつかまた、今度は違う形であの景色を眺めてみたいです。
いつも応援ありがとうございます(^^)
こんばんは!
突き抜けるくらい爽快な風景ですね。
撮影者の腕かと思いますが、この風景の魅力がしっかりと伝わってきます。私もここに行きたいと思いました。素敵な1枚の紹介をいただきありがとうございました。
MTさん、こんばんは!いつもありがとうございます。
あの場所は本当に、突き抜けるような青空と山の景色が素晴らしくて、走っていても気持ちよかったです。
写真を見て「ここに行きたい」と思っていただけたのは嬉しいですね。
機会があれば、ぜひ実際の景色を見に行ってみてください。写真では伝えきれない空気や風まで感じてもらえると思います(^^)
こんばんは。
ロードバイクを手放されたことで,ロードバイクとの思い出が少しつらいものになっていらっしゃるのではないかと思っておりましたが,「相棒との晴れやかな一枚」「同じ走り方はできなくても、この日の景色はこれからも私のなかで走り続ける」との言葉を読み,涙が出ました。
写真の1枚1枚にきっとその思いが載せられているのでしょうね。これからも楽しみに拝見いたします。
リキさん、こんばんは。
そんなふうに感じていただけたなんて、こちらこそ胸が熱くなりました。ありがとうございます。
ロードバイクを手放したことは、やっぱり少し寂しかったですが、あの頃に走った景色や時間まで失われるわけではないんですよね。
今は、20年以上乗っているクロスバイクで通勤や街乗りをしながら、無理のない範囲で自転車を楽しんでいます。
同じような走り方はできなくても、今の自分なりの楽しみ方で、自転車との時間を続けていけたらと思っています。
これからも写真の中に残っている景色と、その時の気持ちを一緒に楽しんでいただけたら嬉しいです。
大変な病気を抱えているんですね。変化が無いということは半分は朗報で、半分は未だリスクが残っているということなんですね。
でも無理をしなければ問題はないという証でもあるんですね。
一年前は自転車で畳平まで登っていたんですか、ビックリです。
ヘアピンカーブがねじれて上か下か分からなくなるようなカーブの連続で、
こんな所を自転車で登って行ったというのが信じられません。
またいつかロードバイクに乗れる日が来るといいですね。
畳平にはもう半世紀も前にバスで行きました。上について少し稜線を歩いたら寒くて歩いていられなくなり、すぐ戻って来たという記憶があります。
GENさん、ありがとうございます。
おっしゃる通り、「変化なし」は嬉しい反面、完全に安心というわけではないので、これからも無理をせず付き合っていこうと思っています。
一年前は畳平までロードバイクで登っていました。今思い返しても、よくあんな坂を登ったなと思います(笑)
あのヘアピンカーブの連続は、走っていると先が見えなくて、ひたすらペダルを回していた記憶があります。
畳平には半世紀前に行かれているんですね。あの辺りは夏でも風が冷たくて、少し歩いただけで寒くなるのも分かります。
またロードバイクで、というのは難しいかもしれませんが、いつか違う形であの景色を見に行けたらと思っています。