曇天に帆をひらく|海王丸モノクローム散歩

目次

はじめに

皆さん、まいどはや。

今日は蒸し暑い曇り空。
青空を期待するには少し重たい空気だったが、ふと海王丸パークへ足を向けてみた。

すると偶然にも、この日は総帆展帆の日。
本来なら幾枚もの帆が風を受け、白い船体が空へ浮かび上がるような景色になる。

けれど今日は、すべての帆が張られてはいなかった。
気象条件なのか、人員の都合なのか、その理由はわからない。

それでも、不完全な帆の姿には、不思議な静けさがあった。

立山連峰も雲の向こう。
ならば今日は色を捨てよう。

そんな気持ちで、港の風景をモノクロームに閉じ込めてみた。

偶然出会った総帆展帆

曇天の港に浮かぶ白い帆
曇天の港に浮かぶ白い帆

灰色の空の下、静かに停泊する海王丸。
背後を横切る新港大橋の直線と、帆船が持つ優雅な曲線。

時代の異なる二つの構造物が、同じ港の中で静かに並んでいた。

本来なら立山連峰が現れる場所には厚い雲。
しかしその代わりに、モノクロームの空気が風景全体を包み込み、
まるで古い航海写真のような時間を生み出していた。

曇天だからこそ選んだモノクローム

正面から見た海王丸、その静かな威厳
正面から見た海王丸、その静かな威厳

真正面に立つと、海王丸は「船」というより、巨大な建築物のようにも見えてくる。

幾重にも張り巡らされたロープ。
空へ伸びるマスト。
半分だけ風を受ける帆。

白黒にすると、それぞれの線がより鋭く浮かび上がり、
帆船が持つ構造美だけが静かに残る。

色彩を失ったことで、むしろ海王丸の存在感は深くなった気がした。

静かな港に浮かぶ「時間」

「海王丸桟橋」の文字と、静かな午後
「海王丸桟橋」の文字と、静かな午後

港を歩いていると、ふと目に留まった「海王丸桟橋」の案内板。

背後には帆船のロープと帆。
その複雑な線の向こう側に、静かな船の時間が流れていた。

観光地としての賑わいよりも、
今日はどこか“停泊している時間そのもの”を撮っていた気がする。

モノクロームにすると、花壇の小さな花さえも、
色ではなく光で咲いているように見えてくる。

おしまいに

晴天の海王丸ももちろん美しい。
青空、白い帆、そして立山連峰。
それは誰もが思い描く「絵になる風景」だと思う。

けれど、曇天の日には曇天の日だけの美しさがある。

色が消えることで見えてくる線。
光が弱いからこそ残る静けさ。
そして、港に流れるゆっくりとした時間。

モノクロームは、風景から色を奪うのではなく、
そこに潜んでいた空気を浮かび上がらせてくれるのかもしれない。

そんなことを思いながら、
今日は静かな海王丸を撮り歩いていた。

基本情報とアクセス
  • 名称:海王丸
  • 住所:富山県射水市海王町8
  • 電話番号:076-682-5181
  • 定休日:水曜日(水曜日が祝日の場合は翌平日)、年末年始、船体整備期間
  • 営業時間:9:30~17:00(季節により異なります)
  • 駐車場:あり
  • 関連サイト:公式サイト
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コメント

コメント一覧 (12件)

  • おはようございます。
    曇天の空気感を逆手に取ったモノクロームの海王丸、
    圧倒的な存在感があって本当に美しい切り取りですね!
    青空に白い帆という定番の景色以上に、この複雑な
    ロープの線や半分だけ張られた帆のディテールが
    際立っていて、船の歴史と構造美に深く見入って
    しまいました。
    風景の「色」ではなく「空気」を浮かび上がらせる
    という素晴らしいカメラワークと、心に響くエッセイ
    のような文章を楽しませていただきました!
    応援ポチ!

    • おはようございます。いつもありがとうございます!
      今回も写真と文章をここまで丁寧に受け取っていただき、本当に嬉しく拝見しました。
      海王丸といえば、青空と総帆展帆の華やかな姿が注目されることが多いのですが、この日は曇天だったからこそ見えてくる表情があるように感じました。
      hassel24さんがおっしゃるように、複雑に張り巡らされたロープや帆の造形、そして長い年月を航海してきた船ならではの重厚感は、モノクロの方がより際立つ気がします。
      「色ではなく空気を浮かび上がらせる」というお言葉には、思わずハッとさせられました。撮影時には漠然と感じていたものを、言葉として表現していただいたような気持ちです。
      海王丸は何度も撮影している被写体ですが、この日はいつもとは違う表情を見せてくれました。その空気感をhassel24さんに共有できたことが何より嬉しく思います。
      いつも写真の奥にある意図や感情まで汲み取ってくださり、本当にありがとうございます。とても励みになっています!

  • おはようございます(^^♪
    帆船 海王丸。
    新湊港に何か縁が有るのですか? 良く停泊しているのを見ますが。
    良く神戸港に来ていますので、出航間際の状況を撮った事が有りますが、
    最近は、登シヨウ礼はやらないので、出航に派手さが無くなりました。
    危険防止なのですかねぇ~。だが、出航する姿は何とも言えなく、綺麗です。

    • おはようございます(^^♪
      いつもありがとうございます!
      海王丸は現在、新湊の海王丸パークに係留保存されていて、富山県を代表する景観のひとつになっています。私も近くを訪れると、つい立ち寄ってしまう存在なんです。
      笛吹童子さんは神戸港で出航の様子をご覧になったことがあるのですね。実際に動いている海王丸は、また違った魅力があるのでしょうね。
      登しょう礼は確かに最近あまり見かけなくなりましたが、帆船がゆっくりと港を離れていく姿には独特の美しさがありますよね。
      大海原へ向かう姿には、どこかロマンを感じます。
      貴重な思い出話を聞かせていただき、ありがとうございました(^^♪

  • モノクロ写真の良さが
    少しずつわかってきた気がします。

    ただ、まだまだ自分がイメージするような
    モノクロ写真が撮れません。
    やっぱりたくさんの写真を
    撮らないとダメなのでしょうね。

    応援ぽち

    • コメントありがとうございます!
      モノクロ写真って奥が深いですよね。
      私も最初は「色がない写真」くらいの感覚だったのですが、見れば見るほど光や影、質感や空気感が大切になる世界だと感じています。
      私もまだまだ勉強中ですが、カラーでは気付かなかった被写体の魅力を発見できるのがモノクロの面白さだと感じています。
      この夏の登山でも、ぜひモノクロで切り取りたくなる風景との出会いがあるといいですね。
      応援ぽちもいつもありがとうございます!

  • モノクロ写真の最大の魅力は
    「陰影」だと思っています。

    そういう写真を撮りたいのですが
    なかなか技術が追いつきません。
    でも、難しいからこそ楽しいのでしょうね。

    応援ぽち

    • コメントありがとうございます!
      私もモノクロ写真の魅力は、やはり陰影や質感の表現にあるように感じています。
      色の情報がなくなる分、光や影、そして被写体の持つ形そのものが浮かび上がってくるのが面白いですよね。
      とはいえ、頭の中で思い描いたようにはなかなか撮れません(笑)。
      でも、おっしゃるように、難しいからこそ夢中になれる部分もあるのでしょうね。
      お互い、試行錯誤しながら楽しんでいきたいものですね。
      応援ぽちもいつもありがとうございます!

  • こんばんは。
    天気が悪ければモノクロで攻める発想ですか、お見事です。
    私はモノクロは苦手なのでごく僅かしか作品作りをしません。こういう発想も持たねばと思いました。
    海王丸パーク、機会があれば訪問してみたくなりました。

    • こんばんは。コメントありがとうございます!
      「天気が悪ければモノクロで攻める」というほど格好良いものではないのですが(笑)、この日は曇天の空気感を活かせないかと思い、いつもとは少し違う表現を試してみました。
      私もモノクロはまだまだ勉強中ですが、カラーとは全く違う世界が広がっていて面白いですね。
      同じSONYユーザーのMTさんにそう言っていただけると、とても励みになります。
      海王丸パークは季節や時間帯によって表情が大きく変わるので、MTさんならどのように切り取られるのか、とても興味があります。
      いつか富山へお越しの際には、ぜひ訪れてみてください。きっと撮影心をくすぐられる場所だと思います。
      いつもありがとうございます!

  • こんばんは。
    モノクロで撮った正面から見た海王丸、その存在感がなんとも見事な写真だなと思いました。
    色を付けると失われてしまうものもあるのですね。

    • こんばんは。コメントありがとうございます!
      正面から見た海王丸を気に入っていただけて嬉しいです。
      普段は青空や海の色とともに楽しむことが多い海王丸ですが、この日は曇天だったこともあり、思い切ってモノクロで表現してみました。
      おっしゃる通り、色を加えることで得られるものもあれば、逆に色を取り去ることで見えてくるものもあるのかもしれませんね。
      複雑に張り巡らされたロープや帆、船体の重厚感など、海王丸そのものの存在感を少しでも感じていただけたのなら嬉しく思います。
      いつも素敵な視点をありがとうございます!

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