はじめに
見上げるだけが、大仏さまとの向き合い方ではないのだと、その日初めて知った。手水の水面に目を落とすと、そこにはもうひとつの大仏さまが、静かに逆さまの姿で佇んでいた。龍の口からこぼれる水が、わずかに波紋を作るたびに、その姿は揺れてはまた元に戻る。実物と、映り込んだ像。ふたつの世界が重なり合うこの瞬間に、しばらく足を止めていた。
MIZU今日も、写真と言葉で綴る小さな旅へ。
見上げる先と、見下ろす先と

普段、大仏さまといえば見上げる存在だ。けれどこの日は、視線を下げた先にもうひとつの姿があった。水面という不完全な鏡だからこそ、輪郭は少しゆらぎ、光の加減で表情まで変わって見える。同じ大仏さまなのに、こんなにも違う印象を受けるのかと、不思議な気持ちになった。
揺れても、そこにあり続けるもの
風が吹くたび、水面の大仏さまは形を崩し、けれどまたすぐに元の姿へと戻っていく。八百年という歴史の中で、何度も焼け落ちながら、そのたびに人々の手で再建されてきた本物の大仏さまの歩みと、どこか重なって見えた。揺れながらも、そこに在り続けること。それこそが、この場所が守り続けてきたものなのかもしれない。
おしまいに
水面に映る姿を見つめたあと、もう一度顔を上げて、本物の大仏さまと向き合ってみたいと思う。次回はいよいよ最終回。間近で見上げたその表情について、少し肩の力を抜いてお話ししたいと思います。
境内を歩いたこの日の様子を動画で
手水のほとりでしばらく足を止めていた、あの日の境内の空気感を動画にも収めています。写真とはまた違う視点で、高岡大仏を訪ねたひとときをぜひご覧ください。

- 名称:高岡大仏
- 住所:富山県高岡市大手町11-29
- 電話番号:0766-23-9156(寺務所(9:00~17:00))
- 定休日:不定休
- 営業時間:台座(回廊)9:00~17:00、寺務所9:00~17:00
- 駐車場:あり
- 関連サイト:公式サイト
MIZU掲載情報は記事作成時点の内容です。
営業時間や料金等は変更となる場合がありますので、ご訪問前に公式サイト等で最新情報をご確認いただくことをおすすめします。


コメント
コメント一覧 (10件)
水面に映る大仏の姿に注目する…
被写体をどう撮るのかを考えるのも
カメラマンの力量かと思いますが
大仏が水面に揺らめく姿に注目するとは
さすがだなぁと思いました。
私もそういう視点を身につけたいです。
応援ぽち
こんばんは。いつもありがとうございます。
そんなふうに言っていただくと、ちょっと照れますね。^^
実は大仏を撮ろうと思って歩いていた時に、たまたま水面に映っている姿が目に入ったんです。
「大仏そのものより、こっちのほうが面白いかもしれない」と思って、しばらく水面を眺めていました。
水に映った大仏は少し揺らめいていて、実際の大仏とは違う柔らかな表情に見えたんですよね。
そういう偶然の出会いを見つけた時は、写真を撮っていてよかったと思います。
「被写体をどう撮るか」というのは本当に難しいですよね。
私も「どう撮ればいい写真になるか」という答えを持っているわけではなくて、歩きながら「いつもの見方を少し変えてみよう」と探している感じです。
でも、そうやって見ていると、真正面から撮るだけでは見えてこなかったものが見つかることがあります。
応援ぽち、いつもありがとうございます。
良い事ありそうなので下を向いて歩こう(笑)
「応援ポチ」
こんばんは^^
そうそう、今回は「下を向いて歩こう」です(笑)
普通なら「大仏を見上げて歩こう」なんでしょうけど、足元に何かいいものが落ちているかもしれませんからね(;^_^A
でも、下を向いて歩いていると、普段なら気づかない小さなものが見つかったりします。
写真を撮るようになってから、歩く時の目線がずいぶん忙しくなりました(笑)。
何か良いことが見つかることを願って、ぜひ下を向いて歩いてみてください。^^
応援ポチ、ありがとうございます♪
おはようございます。
手水の水面に目を落とし、ゆらぐ逆さ大仏さまから
八百年の歴史に思いを巡らせる……なんとも深く、
詩的な視点に深く感銘を受けました。
揺れてもまた元に戻る姿に歴史の歩みを重ねるお話は、
美しく迫力あるお写真の背景とも重なり、胸にじんわりと
響きます。
次回、いよいよ最終回での大仏さまとの向き合い方も
とても楽しみにしています!
応援ポチ!
おはようございます。いつもありがとうございます。
水面に映った大仏を見ていただくだけでも嬉しいのですが、そこから「揺れてもまた元に戻る」というところまで感じ取っていただけたことに、こちらが驚いています。
水に映る大仏は、風や水の動きで形が崩れてしまいます。でも、少し時間が経つとまた静かになって、もう一度大仏の姿が水面に戻ってくる。その様子を眺めていたら、長い歴史の中でいろいろなことがあっても、そこに立ち続けてきた大仏の姿と重なったんです。
もちろん、そんなことを考えながら最初から撮っていたわけではなくて(笑)、水面を見ているうちに、自然とそんなことを思いました。
写真って不思議ですよね。
撮った時には自分の中にあった感覚が、見てくださる方によってまた別の意味を持って返ってくる。
今回のコメントをいただいて、あの時水面を覗き込んでいた時間まで思い出しました。
次回はいよいよ高岡大仏シリーズの最終回です。
最後は真正面から大仏さまと向き合ってみました。^^
ここまで丁寧に見ていただいたので、最後も楽しんでいただけたら嬉しいです。
応援ポチ、いつもありがとうございます。
写真を撮る…
単純な作業なのですが
奥が深い行為ですよねぇ。
奥が深くて難しいから
飽きることなく続けられるのかなとも思います。
9月は休みの日に用事が立て込んでしまい
ほとんど撮影に行けてないので
10月はいっぱい出かけたいですわ。
応援ぽち
こんばんは。いつもありがとうございます。
本当に、写真って「シャッターを押す」だけなら単純なのに、考え始めるとどこまでも奥がありますよね。
同じ場所、同じ被写体でも、光や天気、立つ位置、レンズ、そしてその日の自分の気分まで違えば、撮れる写真も変わってしまう。
だから面白いんでしょうね。「もう分かった」と思える日が来ないからこそ、次に撮る時はどうなるんだろうと、またカメラを持って出かけたくなるのかもしれません。応援ぽち、いつもありがとうございます。
こんばんは。
本物の大仏と手水の水面に映った大仏、二つの大仏を拝んでいるようで、面白い構図の写真だなと思いました。
こんばんは。いつもありがとうございます。
「二つの大仏を拝んでいるよう」という見方、面白いですね。^^
そう言われてみると、本物の大仏と水面に揺れて映る大仏が並んでいて、確かに二体あるように見えますね。
最初は水面に映った姿が面白くて撮ったのですが、実際の大仏と水面の大仏では、表情も少し違って見えるんです。
片方はしっかりとそこに立っていて、もう片方は水の揺らぎで少し柔らかく見える。
同じ大仏なのに、見る場所を少し変えるだけでこんな違いが出るのも写真の面白いところですね。
そこに気づいていただけて嬉しいです。
コメントありがとうございました。