走り出す音に、街がほどけていく|市電のある富山の日常(最終回)

目次

はじめに

城のお堀の静けさを背にして、街の中心へ戻ってきました。

初秋の日差しは午後になっても明るく、街路樹の影が石畳の上にくっきりと落ちています。

静かな時間のあとだからでしょうか。

遠くから聞こえてくる、レールを踏む音や発車を知らせる音が、いつもより鮮やかに耳に届きました。

街が動き出す音

連載の三回目は、街の「賑やかさ」に出会う回です。

噴水の爽やかさ、お堀の静けさ、そして市電の音。

三つを並べてみると、この街は、動と静を行き来しながら一日を過ごしているように思えてきます。

今回は、市電を三つの目線で見つめました。

街路樹の間を走る姿、停留場のにぎわいを遠くから眺める目、まっすぐなレールの先からやってくる姿。

富山の人たちにとって当たり前の景色が、旅人の目にはどう映ったのか、ご覧ください。

MIZU

今日も、写真と言葉で綴る小さな旅へどうぞ。

木々のあいだを走る

車の音の向こうから
車の音の向こうから

街路樹の緑の中を、白い車体の市電がゆっくりと進んできます。

石畳に沿って曲線を描くレールが、電車の行き先をそっと教えてくれるようでした。

行先表示には「Loop Line」の文字。

街をぐるりとめぐる電車は、観光客のためだけのものではなく、通勤や買い物、学校帰りの人たちが毎日使う足でもあります。

ビルと木々のあいだを抜けていく姿は、この街の暮らしにすっと溶け込んでいて、風景の一部のようでした。

ぼけの向こうの、停留場のざわめき

ぼかした向こうの駅
ぼかした向こうの駅

手前の柱や草花をあえて大きくぼかして、その奥の停留場を見つめてみました。

逆光の中に、電車を待つ人や降りてきた人の影がぼんやりと浮かんでいます。

はっきりとは見えないのに、ざわめきや足音、ドアの開く音まで聞こえてきそうな一枚です。

誰かの「いつもの時間」が、そこでは何事もなく流れていました。

人の気配は、輪郭がぼやけているほうが、かえって温かく感じられるのかもしれません。

まっすぐな線路の先から

まっすぐ、こちらへ
まっすぐ、こちらへ

まっすぐに伸びるレールの先から、市電がこちらへ向かってきます。

行先は「グランドプラザ前」。

看板や信号、街路樹が重なり合う通りの真ん中を、銀色の車体が堂々と走っていました。

近づくにつれて大きくなる車体と、レールを伝って響く音。

街が賑やかに動き出す合図のようでした。

噴水から始まった一日の歩みが、ここで街の日常へとつながっていきます。

動画へのご案内

青空の富山を歩く|路面電車と富山城、噴水のある風景

この記事の内容を、約2分の動画にまとめています。写真とは少し違う、電車の走る街の空気を、動画でも感じてもらえたらうれしいです。

おしまいに

噴水の水、お堀の静けさ、市電の走る音。

同じ一日の中で出会った三つの表情は、どれも特別なものではなく、この街でふつうに続いている暮らしの風景でした。

賑わいと静けさが、歩ける距離のなかに同居している。

そのことに気づけたのが、この旅のいちばんの収穫です。

何気ない景色こそ、いつかふと思い出す風景になるのだと思います。

三回にわたる街歩きに、お付き合いいただき、ありがとうございました。

また、越中の景色でお会いしましょう。

基本情報とアクセス
  • 名称:富山駅
  • 住所:富山県富山市明輪町1−1
  • 富山駅は、あいの風とやま鉄道や富山地方鉄道の電鉄富山駅に隣接しているため市外への観光にも便利。富山駅構内や周辺の詳しい観光情報はこちら。
  • 関連サイト:とやま観光ナビ
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掲載情報は記事作成時点の内容です。
営業時間や料金等は変更となる場合がありますので、ご訪問前に公式サイト等で最新情報をご確認いただくことをおすすめします。

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コメント

コメント一覧 (4件)

  • こんばんは。
    富山の町と路面電車、そのレールが敷かれた石畳が何とも魅力的で、とても素敵な写真だなと思いました。

    • サイカズさん、こんばんは。いつもありがとうございます。
      路面電車だけでなく、レールが敷かれた石畳まで含めて見ると、富山らしい街の雰囲気が出ますよね。
      電車が走っていない瞬間も、レールがあるだけで「ここは路面電車の街なんだ」と感じられるのが面白いところだと思います。
      こういう何気ない街の風景も、これから少しずつ撮っていきたいと思っています(^^)

  • 富山の街の中を人々を乗せて縦横無尽に走る市電は街の大動脈なんですね。
    ガタンゴトンという音が響いてくる感じです。
    血液を送り活力を与える市電は富山の生命線ですね。
    一枚目は風のように横をすっと通り過ぎる市電。
    二枚目は人を待つ市電。
    三枚目は人を迎えに来る市電。
    そんな印象を受けました。みんな富山の街の風景なんですね。

    • GENさん、ありがとうございます。
      「富山の生命線」という表現、なるほどと思いました。街の中を人を乗せて行き交う路面電車は、確かに富山の大動脈のような存在ですね。
      「風のように通り過ぎる市電」「人を待つ市電」「人を迎えに来る市電」という見方も面白いです。
      同じ路面電車でも、切り取る瞬間によって役割や表情が違って見えるんですね。
      ガタンゴトンという音まで感じ取っていただけたようで嬉しいです。

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