はじめに
お彼岸の頃になって、中島閘門の彼岸花を見に行ってきました。今回と次の記事の2シリーズにわけて、その朝の写真をお届けします。撮影は2026年9月20日。空は曇りで、今にも雨が降り出しそうな早朝でした。彼岸花が咲いている時期かもしれない、と思い立ち、カメラを片手に家を出ました。
中島閘門は、富山駅の北側から富山湾へ続く富岩運河の中流にあります。いまも動いているパナマ運河方式の閘門で、国の重要文化財に指定されています。静かな朝の散歩に、しばらくお付き合いください。
MIZU今日も、写真と言葉で綴る小さな旅へ。
咲きはじめの朝
今年は雨の日が続いて、秋らしい空をあまり見ないまま、お彼岸を迎えました。季節がどこかでずれてしまったような気がして、花のことも半分は諦めていたのかもしれません。
それでも、朝の閘門へ向かいました。カメラを持って歩いていると、頭のなかはいつのまにか花の色のことでいっぱいになります。彼岸花の顔を、一目見たかったのです。
この記事では、閘門の水面から始めて、花のそばへ少しずつ近づいていく三枚をお届けします。歩く速さで、ゆっくりご覧ください。
水面の空

閘門の水は、曇り空をそのまま映していた。低い雲の重なりが、水の底にも続いている。
早い時間で、あたりは静かだった。散歩の人が、ひとり、またひとりと、遠くの道を歩いていく。朝が始まるときの音は、こんなに小さかったのかと思った。
手すりの前に立って、空を見上げる。今にも雨が落ちてきそうで、降り出すまでに何枚撮れるだろうかと考えた。風はほとんどなかったのだろう。水面に、揺れがなかった。
花を探しに来たのに、最初の一枚は、水面に向けていた。
つぼみを残して

近づいてみると、開いている花は数えるほどで、まわりにはまだ、つぼみが立っていた。赤くなる前の、暗い色をしたつぼみだった。
今年は雨が続いて、秋らしい日が少なかった。それなのに、お彼岸に合わせて、こうして咲きはじめている。律儀な奴だな、と声に出さずに笑った。
雨の前の朝は、音が少ない。細い茎の間を抜けていく空気も、静かだった。赤い花びらの先が、曇りの光のなかで、ほんの少しだけ明るく見えた。
後ろを、散歩の人が通っていく。花の高さまで目線を下げていた私は、その足音を聞きながら、しばらく動かなかった。
水辺に連なる赤

視線を上げると、水のふちに沿って、赤が遠くまで続いていた。手前の花はまだ数えられるほどで、奥のほうがずっと赤い。
足を止めて、シャッターを切る。曇りの光のなかで、赤だけがはっきりとしていた。水面のところどころが白く光っている。空の明るさを、拾っているのだろう。
散歩の人が、また後ろを通っていく。足音が近づいて、やがて遠ざかった。話し声はほとんど聞こえず、聞こえるのは、自分の靴が砂を踏む音くらいだった。
雨が降り出す前に、もう少し歩いてみようと思った。
おしまいに
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
咲きはじめの彼岸花は、つぼみと開いた花が、まだ入りまじっていました。あの朝の中島閘門は、これから赤くなっていく途中でした。
曇り空の下の赤と散歩の人の足音は、いまもよく思い出せます。撮っているあいだ、空はなんとか持ちこたえてくれました。
次回は同じ朝の続きです。花にもう少し近づいて撮った写真と、あの朝の終わりのことをお届けします。よろしければ、またお立ち寄りください。

- 名称:中島閘門
- 住所:富山県富山市中島
- 電話番号:076-437-7131(富山県富山港事務所)
- 定休日:なし
- 料金:無料
- 駐車場:あり
- 関連サイト:公式サイト
MIZU掲載情報は記事作成時点の内容です。
営業時間や料金等は変更となる場合がありますので、ご訪問前に公式サイト等で最新情報をご確認いただくことをおすすめします。



コメント
コメント一覧 (12件)
中島閘門…
地図で場所を確認しました。
神通川のすぐ東側なんですね。
神通川はイタイイタイ病のイメージが強かったのですが
実際はすごく綺麗な川だったので
驚いた記憶がありますわ。
応援ぽち
よっちんさん、こんばんは。地図で中島閘門の場所まで確認してくださったんですね。そうなんです、神通川のすぐ東側にあります。
神通川といえば、よっちんさんがおっしゃるように、富山県の歴史を語るうえではイタイイタイ病との関わりが強く印象に残っている川ですよね。
私も子どもの頃からそういうイメージを持っていましたが、実際に川沿いを歩いてみると、水辺の景色が思っていた以上に穏やかで綺麗なのに驚かされます。
歴史の中でいろいろな顔を持ってきた川ですが、今はこうして人が散歩したり、季節の花を眺めたりできる場所になっている。
そんな現在の神通川の姿も、写真に残しておきたいなと思っています。
応援ぽち、ありがとうございます。
おはようございます。
鏡のように静かな水面を捉えた一枚目から、情熱的な赤が映える彼岸花へ…
と導かれる視線のストーリーがとても素敵です。
雨前のしっとりとした光だからこそ、彼岸花の鮮烈な赤が一層際立って見えますね。
歴史ある中島閘門の佇まいと可憐な季節の花のコントラストが素晴らしく、
静けさの中に深い味わいを感じました。
素敵な朝の散歩風景を見せていただきありがとうございます。
hassel24さん、おはようございます。いつもありがとうございます。
今回は中島閘門の静かな水面から彼岸花へと、少しずつ視線が移っていくような流れを意識して写真を並べてみました。
朝の水面が鏡のように静かで、その向こうに赤い彼岸花が見えてきたとき、「この組み合わせは面白いな」と思ったんです。
雨が降る前の少し湿った空気と柔らかな光も、彼岸花の赤をいつもよりしっとり見せてくれたように感じます。
中島閘門は歴史を感じさせる場所ですが、そこに季節の花が加わると、少し硬い印象の風景が一気に柔らかくなるんですよね。
こういう「古いもの」と「その季節にしか見られないもの」の組み合わせが、私は結構好きです。
朝の散歩にお付き合いいただけたように感じていただけたなら嬉しいです。
次回はもう少し彼岸花に近づいた写真になりますので、また違った表情を楽しんでいただければと思います。
おはようございます(^^♪
彼岸花。
田んぼの土手に沢山咲きます、葉の無い不思議な花。
仏教の経典、サンスクリット語で「天界咲くおめでたい花」だそうです。秋の入り口に差し掛かりましたね。
笛吹童子さん、おはようございます(^^♪
彼岸花は田んぼの土手にまとまって咲いている姿がよく似合いますよね。
葉がない状態で、いきなり茎が伸びて花だけが咲く姿も、改めて見ると本当に不思議な花です。
「天界に咲くおめでたい花」という意味を持つというお話、ありがとうございます。
彼岸花には少し寂しげなイメージを持つ方も多いと思いますが、そういう意味を知ると、赤い花の見え方も少し変わってきますね。
秋の入り口に咲く彼岸花を眺めながら、季節がまた一歩進んだことを感じました。
これから少しずつ秋らしい景色が増えていくのが楽しみですね。
どんなに夏が猛暑であっても
ちゃんとお彼岸の時期に咲いてくれる彼岸花。
ありがたい花ですよねぇ。
彼岸花が咲き終わると
いよいよ秋本番だなぁと思います。
応援ぽち
よっちんさん、こんばんは。
本当に彼岸花って律儀ですよね。
あれだけ暑い夏が続いても、秋のお彼岸が近づくと、いつの間にか土手や田んぼのあぜ道に赤い花が咲き始める。
気温だけを考えれば、今年はもう少し遅くなってもおかしくないような気がするのに、ちゃんと季節を感じ取って咲くのだから不思議です。
彼岸花が終わると、今度は金木犀の香りがしてきたり、空気が少しずつ冷たくなってきたりして、「いよいよ秋だな」と感じるようになりますよね。
今年も彼岸花に秋の訪れを教えてもらいました。^^
応援ぽち、ありがとうございます。
こんにちは。
日本にもパナマ運河と同じような運河があることはしりませんでした。
富山県は、まだまだ山口県からは遠いですからね~(^^)
彼岸花もこちらはもう萎んでしまいましたが、まだ生き生きとしており、特に2枚目のショットが、いいですね~!
KFさん、こんにちは。いつもありがとうございます。
富山にも、実はパナマ運河と同じように船を上下させる仕組みを持った運河があるんですよ。規模はもちろんまったく違いますが、中島閘門もなかなか面白い場所です。
山口県から富山となると、やっぱり気軽に来られる距離ではないですよね。^^
私も山口県の風景にはまだまだ知らない場所がたくさんありますので、お互いにブログを通して「こんな場所があるんだ」と知るのも楽しいですね。
彼岸花はそちらではもう終わってしまったんですね。
こちらではちょうど見頃の時期だったので、朝の柔らかな光の中で生き生きとした姿を撮ることができました。
2枚目を気に入っていただけて嬉しいです。
このあと少し花に近づいた写真も出てきますので、また見ていただけたらと思います。
こんばんは♪
柔らかな光に咲く彼岸花も落ち着きがあってよいものですね。記事にも書かれていますが、いつも彼岸の時期に咲くのには感心してしまいます。これからご紹介いただける花のアップの作品はどのような表現となるのかちょっと楽しみです。
MTさん、こんばんは♪いつもありがとうございます。
彼岸花は、毎年ほぼ同じ頃になるとちゃんと咲いてくれるのが本当に不思議ですよね。どんなに暑い夏だったとしても、季節が進めば赤い花が顔を出してくれる。その律儀さには感心してしまいます。
今回は朝の柔らかな光の中で撮ったので、彼岸花の鮮やかな赤も少し落ち着いた表情になったように思います。
普段は「情熱的な赤」という印象が強い花ですが、光の当たり方でこんなに雰囲気が変わるのも面白いですね。
次回は少し花に近づいて、アップで撮った写真をご紹介する予定です。
同じ彼岸花でも、寄ってみるとまた違った表情が見えてきますので、楽しんでいただけたら嬉しいです。