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花の内側に、世界はほどけていく

もう、見上げてはいなかった。
気づけばその中にいて、
桜は「眺めるもの」ではなくなっていた。
ひとつひとつの花びらは、かすかに揺れながら、
それでも全体としては、ひとつのやわらかな層をつくっている。
焦点は定まらず、
輪郭もまた、あいまいに溶けていく。
けれど、その曖昧さこそが、
いまこの瞬間の確かさだった。
遠くにあったはずの空は、もう見えない。
城も、人も、すべてがこの奥へと沈んでいく。
ただ、色だけが残る。
ただ、やわらかな温度だけが、そこにある。
春は広がるものではなく、
こうして、内側へと満ちてくるものなのかもしれない。

コメント
コメント一覧 (5件)
おはようございます。
「春に包まれる」という感覚が、言葉からじわじわと伝わってきました。
見上げるのではなく、その色の中に溶けていくような感覚…素敵ですね。
一枚の写真から、春の確かな温度を感じました。
春は広がるものではなく、内側へと満ちてくるものなのかも…
素敵な表現ですね。
hassel24さん、おはようございます。
いつも心に響くコメントをありがとうございます。
「春に包まれる」という感覚を感じ取っていただけて、とても嬉しいです。
おっしゃる通り、ただ見上げるのではなく、その色の中に溶け込んでいくような瞬間が、春にはあるように思います。
桜の表現の仕方が素晴らしい。
春感じる一枚ですね
NOBさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
桜の表現をそのように感じていただけて、とても嬉しいです。
雲天で光量がない分、空を背景に入れない構図にしました。
春のやわらかな空気や気配が、少しでも伝わっていたら何よりです。
短い季節ですが、その一瞬を大切に撮っていきたいと思います。
まるで桜が全身を包み込むかのような
見事な撮り方ですね。
何mmのレンズで
絞り値はいくらで撮影されたのか
ちょっと気になりました。
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