はじめに
前回は、青に包まれるようにして新湊の風景を歩きました。
橋を渡り、船に揺られ、運ばれていく中で出会う景色たち。
そのときの記録は、
「青の回廊を渡る|新湊大橋と港をめぐる小さい旅」で詳しくまとめています。

けれど今回は、その続き。
少しだけ視線を変えて、「行けない場所」や「境界の気配」に目を向けてみます。
同じ港でありながら、そこにはまた違った静けさがありました。
きらめきの向こう側にあるもの

海は相変わらず、やさしく光を返していた。
その穏やかさの向こうに、無骨なシルエットが並んでいる。
巨大なクレーン。積み上げられた構造物。
人の気配は見えないのに、確かに「働いている場所」。
きらめきと無機質。
その境界は曖昧で、どちらも同じ海の上に成り立っている。
進めない道の、その先へ

道は、確かに続いている。
まっすぐに、どこかへ。
けれど、その手前で静かに遮られる。
「ここから先には行けない」と、ただそれだけを告げる柵。
不思議と、強い拒絶ではなかった。
むしろ、その先に広がる景色を想像させる余白のようで。
行けない場所があるからこそ、見えてくる景色もある。
そんなことを、ふと考えていた。
見上げた先にある、もうひとつの存在

ふと視線を上げると、そこに橋があった。
あれほど主役だったはずの存在が、
今は街の奥で、静かにそびえている。
電線や建物に切り取られながらも、
白い主塔は変わらず空へと伸びていく。
同じ橋なのに、まるで別のもののように見えた。
近づけば巨大で、離れれば風景になる。
その距離感が、この場所の面白さなのかもしれない。
おしまいに
青に包まれた時間のあとに訪れた、もうひとつの新湊。
開かれた風景だけではなく、
閉ざされた場所や、その裏側にある気配。
ほんの少し歩くだけで、同じ場所は違う表情を見せてくれます。
そしてこの港には、まだ歩いていない場所が残っていることにも気づきました。
視線を変えれば、きっとまた別の景色が現れるはずです。
次はもう少しだけ、その先へ。
そんな予感を胸に、この小さな旅を終えます。


コメント
コメント一覧 (12件)
おはようございます
見慣れた景色もちょっと視点を変えてみれば違う光景に出会えますね
巨大な橋のたもと、近づけないものと最初から思っていたので
街の隙間から見る光景は新鮮です~
歩くと色々な発見があり面白いでしょうね、いつも車ばかりなので反省です
べり~*さん、いつもありがとうございます。
本当に、視点を少し変えるだけで、見慣れた景色がまったく違って見えるのが面白いですよね。私も最初は「ここには近づけないだろう」と思っていた場所でしたが、実際に歩いてみると、思いがけない隙間や角度から新しい景色に出会うことができました。街の中をゆっくり歩くと、小さな発見が次々と現れて、ちょっとした冒険のような気分になります。車では通り過ぎてしまう風景も、足を止めることで見えてくるものがありますね。とはいえ、車での快適さもまた魅力の一つですし、無理のない範囲で楽しむのが一番だと思います。また違った視点での発見があれば、ぜひ教えてくださいね。
富山の海岸部というと私は中学校の授業で
「化学工業が発展しつつある」と習った記憶があります。
あれから50年が過ぎましたが
今はどうなのでしょうね。
応援ぽち
よっちんさん、コメントありがとうございます。
「化学工業が発展しつつある」と習われた時代から、もう50年になるのですね。時の流れを感じます。富山の海岸部は、現在も工業地帯としての役割を持ちながら、一方で景観や環境との調和も意識されているように感じます。工場のある風景もまた、この土地ならではの表情として、どこか味わい深いものがありますね。昔の記憶と今の風景を重ねながら見ていただけると、また違った面白さがあるかもしれません。応援ぽち、いつもありがとうございます。
こんばんは。身近な小さな旅は今まで気がつかなかったものを発見したり、目線を変えられたりでいいものですよね。その中で素晴らしい被写体に出会えた時の気分はなんともいえません。MIZUさんのようにネタが豊富で写真を何枚も同時にあげるようなことは出来ませんが、私なりに引き続き1枚1枚あげていければいいなと思います。
MTさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
おっしゃる通り、身近な小さな旅ほど新しい発見に出会えるものですよね。見慣れた風景でも、ふとした瞬間に「こんな表情があったのか」と気づかされることがあります。
そして、その中で心に響く被写体に出会えた時の喜びは、本当に格別ですね。
写真の枚数に関しては、私もその時々でばらつきがありますし、むしろ一枚一枚を大切にされているMTさんのスタイル、とても素敵だと思います。
一枚に込められた想いや視点は、きっと見る人の心にしっかり届いているはずです。
これからの投稿も楽しみにしていますね。
昨日、netflixでドラマを見ていると
新湊の内川地区や曳山の様子が
効果的に使われていました。
やっぱり行きたくなりましたわ^^
応援ぽち
よっちんさん、コメントありがとうございます。
ドラマの中で新湊の内川や曳山が登場していたのですね。あの風景が映像の中でどう表現されていたのか、とても気になります。内川のゆったりとした水辺の空気感や、曳山の迫力は、やはり実際にその場で感じるとまた格別ですよね。映像でご覧になったあとだと、きっと現地での印象もより深くなるのではないでしょうか。
応援ぽち、いつもありがとうございます。
こんばんは
海の青と船跡の白、そして手前の無骨なオレンジ。写真の色彩感覚が、
後半の『主塔の白』へと繋がっていく構成に惹き込まれました。
近くで見れば巨大な主役である橋が、離れれば街の風景に溶け込む……。
そんな距離感の妙を捉えた文章に、自分も新湊の港を静かに歩いている
ような、心地よい旅情を感じました。
応援ポチ!
hassel24さん、いつもありがとうございます。
とても丁寧にご覧いただき、そして色彩や構成の流れまで感じ取っていただけて、本当に嬉しく思います。海の青、船跡の白、そして手前のオレンジ――あの対比が、自然と主塔の白へと視線を導いてくれるような感覚があり、そこを意識して切り取った一枚でしたので、共感していただけたことに深く感謝しています。橋という存在は、近くでは圧倒的な主役でありながら、少し距離を取ると街の風景に静かに溶け込んでいく。まさにその「距離感の妙」は、この場所ならではの魅力だと感じています。文章からも旅情を感じていただけたとのこと、とても励みになります。これからも、歩くような目線で風景をお届けできればと思います。
応援ポチ、いつもありがとうございます。
こんばんは。
前回とは違った新湊の景色、とても面白いなと思いました。
少し歩いただけで、違った景色が見えてくるのですね。
サイカズさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
前回とはまた違った新湊の表情を楽しんでいただけたようで、とても嬉しいです。
本当に、少し歩くだけで景色ががらりと変わるのが、この場所の面白さだと感じています。
同じエリアでも、視点や距離が変わるだけで新しい発見があるのは、歩く楽しみの醍醐味ですね。
これからも、そんな「ちょっとした変化」を感じていただけるような風景をお届けできればと思います。