春は、面としてやってくる

最初に感じるのは、色だ。
言葉よりも早く、黄色が視界を満たす。
遠くまで続く菜の花。
一輪一輪は小さいのに、集まることで、季節そのものの表情になる。
春は点ではなく、まず「面」として現れるのだと思う。
視線を下ろすと、物語が始まる

次に、視線を少しだけ下げる。
群れの中から、一本を選ぶように。
背景は溶け、黄色はやわらかな光に変わる。
花の輪郭だけが、そっと浮かび上がる。
同じ春でも、距離が変われば、表情は変わる。
ここではもう、風景ではなく、対話だ。
それでも、春は広がっていく

さらに一歩引くと、再び世界は広がりを取り戻す。
手前にも、奥にも、同じ黄色が揺れている。
一輪に注いだ視線は、いつの間にか、また風景へと戻っていく。
春は、寄っても、引いても、逃げない。
ただ、そこに在り続ける。
黄色の中を歩くということ
三枚の写真は、同じ場所、同じ花、同じ季節を写している。
それでも、距離と視線が変わるだけで、春は何度も姿を変える。
満ちる春。
語りかける春。
包み込む春。
黄色の中を歩きながら、そのすべてを、確かに受け取っていた。
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コメント
コメント一覧 (8件)
写真は距離と視線が変われば、同じ物でも違った表情を見せてくれますね
菜の花咲き出すと次は桜の開花が待ち遠しいですね!
NOBさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
本当におっしゃる通りで、距離や視線を変えるだけで同じ菜の花でもまったく違う表情を見せてくれますね。
カメラを向けながら、その変化を楽しんでいました。
菜の花が咲き始めると、いよいよ次は桜ですね。
春の景色が少しずつつながっていくこの季節は、やはり心が弾みます。
菜の花畑を見ると
「朧月夜」の歌を思い出します。
春が近づいてくるこの時期ですが
私は日照時間の長さで
まずは春を感じますわ^^
応援ぽち
よっちんさん、こんばんは。コメントと応援ありがとうございます。
「朧月夜」、菜の花を見ると確かに思い出しますね。
あの歌の情景そのままのような、やさしい春の風景ですよね。
日照時間で春を感じるというのも、とても共感します。
夕方の明るさが少しずつ長くなってくると、「ああ春が近いな」と感じますね。
おはようございます
黄色は元気になる色で春の始まりにはぴったりですね
一面の菜の花畑を見るとグッと元気になれますよ~(^^♪
べり~*さん、こんばんは。コメントありがとうございます。
黄色は本当に元気をもらえる色ですね。
一面の菜の花畑に立つと、春のエネルギーをそのまま浴びているような気持ちになります。
見ているだけで気持ちが明るくなる、そんな春の色だなあと感じました。
MIZUさん こんばんは
『春は点ではなく面として現れる』という言葉の響きが、心に残りました。
一面の黄色に包まれる高揚感と、一輪を見つめる時の静かな静寂。
三枚の写真を通して、春の多面的な美しさを旅したような心地よさです。
寄っても引いても、そこには変わらない春が在る。そんな力強くも
優しい視点に、温かい勇気をもらえた気がします。
素敵な作品をありがとうございました。
応援ポチ!
hassel24さん、こんばんは。とても丁寧で温かいコメントをありがとうございます。
「春は点ではなく面として現れる」という言葉に目を留めていただき、とても嬉しいです。
一輪の花に目を向ける静かな時間と、広がる菜の花畑の包み込まれるような景色。
その両方を写真で感じてもらえたなら、これ以上嬉しいことはありません。
三枚の写真を通して春を旅したようだと言っていただき、本当に励みになります。
こちらこそ素敵なお言葉をありがとうございました。